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いつでも里親募集中

随分久しぶりに、一番下の息子が帰ってきた。


父と息子は、一年半くらい顔を合わせていない。


その一年半前でも、既に夫は自分の息子を忘れていたに違いない。


だから、今となっては、私は、夫が息子を思い出せるかどうかを、考える事すらしなかった。


道中、息子が「お父さん、僕の事分かるかな?」と聞いたけど、あっさりと、「分からないと思うよ。」と答えた非情な母であった。



017.jpg   otousann


息子は、父の前に立って「お父さん、○○だよ。分かる?」と問いかけるが、


私の予測は、当らずとも遠からずで、夫が息子を分かったのかどうかは、結局の所は分からない。






部屋の隅に、リハビリの為に使われる絵本やゲームが置かれている。


末っ子と言うのは、幾つになっても幼いところがあって、彼は、ゲームを物色し、その中から「黒髭危機一髪」を持ち出した。


昔、これと同じものが家にもあった。


小さな剣を穴の中に挿してゆき、あたりの穴に挿すと、黒ひげがぴょーんと高く飛び上がって来る。


ドキドキしながら、家族で楽しんだ事を思い出した。


asobo.jpg


息子は、父親に一生懸命話しかけている。


「はい、お父さん、これ持って。この剣を持って、この穴に入れるの。ほら、ここに入れてごらん。

違う違う、ここ、ここに入れるの。あ~、食べちゃダメだよ。ここに入れて。」


motte.jpg



私は、心の中で、

「ムリムリ。お父さんには、もうそう言うことは出来ないの。何を言われてるかも分からないよ。」

と思いながらも、口には出さずに、父と遊んでいる息子を見ていた。


kurohige.jpg kurohige2.jpg asobi2.jpg asobi1.jpg


父と息子の間には、とても暖かい空気が流れていた。


何だか不思議な感覚だ。


息子の心の中は分からないけれど、少なくともそこに居る彼は、「自分を忘れてしまった父親」を嘆く事無く、一緒に遊ぶ事を楽しんでいるかのように見えた。






お父さんがいて、お母さんがいて、子供がいて、


普通に笑って、普通に楽しく過ぎて行く時間。


過去の我が家にとって、あまりにも当たり前すぎた時間。


夫が病に冒されてから、そんな時間は消えてしまった。


いや、団欒はあった。


だけど、それは見せかけの団欒、それぞれが意識した団欒でしかなかったのかもしれない。





私は、自分がそこにいるにも関わらず、親子3人で過しているその時間を、遠い所から俯瞰していた。


そして、楽しそうにしている息子と、夫の穏かな表情を見て思った。


あ~、夫はやっぱり家で暮らしたいんだろう。


この当たり前の時間の中で過す事が、夫にとって最善の道なのだろう。


夫は、最後までずっとずっと穏かな顔だった。


本来苦手とされている「男性」からあれこれ構われているにも関わらず、だ。


夫はもう、目の前の人物が、自分の妻である事も息子である事も分からない。


家族だ、とも、懐かしい、とも、そんな理屈とは無縁だ。


だけど、きっとその場の空気に、何か感じるものがあるのだろう。


居心地の良さ、だろうか。


お正月に三男と一緒に病院に行ったと同じ様な感じだ。


あの時も、そして今回も、夫は、ずっと穏やかな顔を維持してくれた。


私ひとりの面会の時とは、何か違うものを感じている気がする。


たまたま調子が良かっただけかもしれない。





だけど、私は強く思った。


夫にとって、自分の家で家族と共に、当たり前の様に過す、


これに勝る幸せなど・・・・・ない。




おうち





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