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いつでも里親募集中

10年

家族が認知症になってしまったら、一日でも長く一緒に暮らしていたいと願うのが、家族の心情だそうだ。




特に夫婦の場合、その想いは強いと言う。


それが通常の心理ならば、私は鬼なのだろう。


私は今、夫がいつ天国へ行っても構わないと思っている。


早く、お迎えが来て下さいと、願う時もある。


過去にも、何度も何度もそう思いながら生きてきた。





今日の夫は、最悪だった。

(今日と言うのは、遡って11日の話し。)


初めは、ベッド上で比較的穏かな顔をしていた。


その後、車椅子に移ってホールへ移動し、いつもと同じ様にお八つを食べた。


まだ、調子は悪くない。


しかし、そこから表情が曇ってきた。


眉間の皺が消えない。


どんな声掛けも無駄だと分かっている。


面会の帰り際の夫の表情が、その後の私の心の色を左右する。


だから、出来るだけ良い顔を見て帰りたい。


そう思って、暫くの間夫の眉間の皺と付き合っていた。


もしかしたら、急に穏かな顔になるかもしれないからだ。


その判断が間違っていた。


今日の夫は、いくら待っても、回復しなかった。


眉間の皺には、慣れている。


気持ちは落ち込むけれど、良くあることだ。


だが、今日の夫の眉間の皺は、何時もとは一味違っていた。


まるで、半年前に時間が戻ったように、怒り出した。


○×▲□・・・・バカ


車椅子に座ったまま、自由に動く手を振り上げて怒る。


目の前に、夫だけに見えている悪魔がいる。


無駄だと分かっていたけど、廊下を一周お散歩して見た。


やっぱり、無駄だった。


○○××□□▲▲・・・・・・


大きな声で怒鳴るので、お年寄りが遠巻きにこちらを見ている。


誰も助けには来てくれない。


過去の地獄の時期の出来事がフラッシュバックしてくる。


体中から、力が抜けてゆく。






もうダメだ。


帰ろう。


限界だ。


これ以上居ると、自分がおかしくなる。








いったい、いつまでこんな事が続くんだろう。


もう、何年、こんな事に翻弄されているのだろう。






夫が「死にたい」と口に出していたのは、4,5年前の事だった。


今はもう、そんな自分の意思をしゃべる事は出来ない。


また、その様に思う事も出来なくなっている。


だけど、夫は何も分からなくなった心の奥底で、今でもきっと同じ事を願っていると思う。


あの眉間の皺は、生きている事への苦悩の表現としか思えない。


何故、生きなくてはならない?


こんなになってまで、何故、生きていなくてはならない?


元気だったころの夫の考え方、価値観、私は良く知っている。


「もう、良いだろう。病気になってから、10年も生き続けた。自分の意思で出来る事は何もない。

食べる事、歩く事、果ては排泄する事、何もかも自分で出来ない。この先、生き続ける事に何の意味も希望もない。

家族は、散々苦しんだ。ずっとずっと迷惑をかけている。普通の家庭の普通の幸せや喜びなど、何もかも奪い去ってしまった。

もうこのあたりで良いじゃないか。いいかげんに解放してほしい。死なせてくれ。」











人は、夫が生きる理由を教えてくれる。


「奥さんの為にご主人は頑張って生きているのよ。」


・・・って。


気の毒な立場の奥さんを、少しでも励まし、生きて行く元気を持って貰おうとの優しい言葉である事は分かるので、その場では反論などしない。



だけど・・・・


心の中では、思いっきり否定している。


今の私は、心に全くゆとりがないので、そんな暖かい言葉を受け入れる事が出来ない。


もし、夫が私の為に頑張って生きているんだとしたら、あまりにも悲しい。


私の存在が、夫の苦しみを長引かせている事になる。


それなら、もし私が先に死んだら、夫は直に生きるのをやめるのだろうか。


いや、彼は私が死んだ事も分からず、口から食べられる限りずっと生き続けるだろう。


私のためになんか生きていてくれなくても良い。


生き永らえ、苦しむ夫を見ている事の方が拷問だ。


あの眉間のしわと悲痛なうめき声は、私の体の中からあらゆるものを吸い取ってしまう。


生きる気力も元気も、希望も未来も、願いも望みも、目の前のほんのちょっとの喜びも楽しみも幸せも・・・・


何もかもを消し去る。


そして、残るのは「私」と言う形の物体だけ。


涙すらもう出ない。


それでも、ここに存在している私、存在しなくてはならない私は何なんだろう、と思う。


耐えて耐えて、漸く少しは楽になれたかと思っていたら、あっと言う間に時間が戻る。


何度、これを繰り返して来たことだろう。


この先、何度繰り返さなくてはならないのだろう。


再び立ち上がる気力は、年月と共に萎えてくる。










医学はこんなに進歩して、目の前に専門医がいるのに、何故助けてもらえないんだろう。


この世で救いがないのなら、せめて救われるかもしれない世界へ送り届けて貰えないだろうか。


何故、生き続ける事だけが尊いと言われる世の中なのだろう。


自由、権利が声高に叫ばれている世の中なのに、何故死ぬ自由、死ぬ権利はないのだろうか。


自分らしく生きろとは言われても、自分らしく死ねとは言われない。





夫は、生きる事でこんなに苦しんでいる。


口から食べられる限り、夫は生き続ける。


そして、苦しみ続ける。


時々、世界が破滅すれば良いのに、と思う。


地球が無くなってしまえば良いのに、と思う。


何もかもなくなれば、


そうしたら・・・夫の苦しみもなくなるのに。











5月がくれば、夫がこの忌まわしい病を宣告されてから丸10年が経つ。


10年も経つのに、私はまだこんなレベルでのた打ち回っている。


恐らく最後まで、程度の差こそあれ、同じ様な想いを抱えながら生きて行かなくてはならないのだろう。


愛情を持って、家族が力を合わせて、周りの方たちに助けられて、頑張って頑張って、困難を乗り越えれば、いつかはきっと心からの安らぎに包まれる・・・・・


これは、やはり誰かが作った映画かドラマの筋書きでしかないのだろう。


そんな風に仕上げれば、この忌まわしい病気も「神様からの贈り物」と言う感動的なサブタイトルが付けられると言うものだ。







生きる。


これほどしんどい事はない。


早く、終着駅にたどり着きたいと思う。


途中下車が可能なら、それも厭わない。




10nenn.jpg



じっと私を見つめるメグちゃんの無垢な瞳をみて、


それでもやっぱり、頑張って生きてゆく以外にない、と思い直す。





















PS:11日の夜、上の記事を書きました。

書きながら、こんな想いは公開してはならないと思い、今日まで引きずってきました。

10年経っても苦しみから抜け出せない現実は、あまりにも悲しい。

読んで頂いている方の気分も暗くなるでしょう。

上に書いた事は、私の心からの想いである事は間違いありません。

毎日、生きてゆくしんどさに潰れてしまいそうです。

11日のトラウマがあって、面会に行く事がためらわれていました。

また、あの悲惨な姿を見せ付けられたら、もう自分が立ち直れない気がしていたからです。

だけど、このまま止まってしまう訳にはいきません。

だから、勇気を振り絞って、平常を装って、会いに行きました。

夫は、少々のしかめっ面はあったものの、比較的穏かで居てくれました。

その穏かな顔が崩れないうちに、早々と帰ってきました。

ほんの少し、心が楽になりました。

夜、息子たちと会社の皆と、バレンタインのパーティーをしました。

皆で楽しく過し、皆で笑いあって、幸せな時間でした。

また少し、元気が追加されました。

こうして、私の心は急降下したり、また浮上したりしながら、この先も生きてゆくのだろうと思います。

ずっと迷っていた上の重い記事、私の本音、

漸く、公開する気持ちになりました。








コメント

こころ・・・のままで

本音を書かれましたね やっと・・・。これまで拝見してて少ぅしだけ綺麗ごとすぎる・・ってゴメンナサイ!感じてました、こんな大変な現実の前に優等生すぎる・・って再びスミマセン!

私も以前、鬼・・どころか悪魔・サタン!の時期がありました、
夫は抗癌剤投与の一環上で受けた手術ミスで 動脈の血管が詰まり脳幹損傷してしまいました。二年半でしたが入退院11回 救急車搬送4回・・・ 結果的には短期間でしたが、その当時はその状態が永遠につづく・・と思われました。 
悲嘆・苦しみのなかで全身の血が逆流するような日々、夫は荒れる時と諦嘆の時と・・最後は子ども・赤子になっていき・・・
60回目の巡りを見届け 子らをはぐくんだ両の手の櫂を操り 天の舟で遠い海へ還っていきました・・・

夫がひどく荒れる時は私、サタン、でした 夫も早く楽になれますように・・天の舟に乗せたい・・・
逝ってしまった時も 正直、安堵の思いもあり・・・
ほんとに今思えば どうかしていたと思います、せめて今は形だけの供養にも頼らず じぶんの至らなさ、思ったこと、もろもろ悔いも悲嘆も夫が感じたであろう?哀しみもそのまま真っ直ぐ受けて背負っていこう・・!と心に決めています。

心のまま・・・でいいんではないでしょうか、表現することも力になっていると思います、今回、正直に書かれて、ひそか?に共感されるひともおられるのではないでしょうか・・・

長くなりました ご容赦ください メグちゃんのつぶらな目がこれ以上曇りませんように・・・!

風蓮さん

こんにちは。

暖かいコメント、ありがとうございます。大変な思いをされ、既にお見送りまで終えられた 風蓮さんには、今の私の気持ちは、手に取るようにお分かりでしょうか。

人間の心は、0か100かではなく、揺れ動くものだと思います。

苦痛に喘ぐ夫を看ている時の、早く天国へ行って欲しい、と願う心も本音。

かと思うと、ほんの少しでも笑ってくれた時、天にも昇る気持ちになって、このまま80、90歳まで一緒に暮らしたい、と願うのも本音です。

ブログを始めて、いつの間にか5年が経ちましたが、本音を偽った綺麗ごとを書いた事は一度もありません。

ただ、個人のブログと言えども、公にする以上、その言葉には責任が伴うと思うので、書きやすい本音、書きにくい本音、書いてはならない本音、などあると思います。

この間に、沢山の方々と知合えて、力を頂きながらここまでやって来ました。

経験をお話しして下さった先輩、共に歩いてきた仲間、また、私のブログが心の支えだと言ってくださった方もおられます。

今回の記事だけが本音で、今までのは優等生ぶった綺麗ごとだったとなると、そんな皆様を裏切ってきた事になってしまいますので、それだけは違います、と書かせてください。

応援してくださる方々への感謝の気持ちを持って、これからも今まで通りに、心のままに・・・書いてゆけたらと思っています。


風蓮さん、色々聞かせていただいて、ありがとうございました。どうぞお体を大切に、お過ごし下さいませ。

私は、澄んだ瞳のメグちゃんと、これからもずっとずっと一緒に歩いてゆきます。

こんにちは  私は体調が良くなり以前の生活にもどりました  が 母は 二十日間の施設での生活ですっかり認知度がすすみましたので自分の時間がとれず ご無沙汰です。  今は家での 二人暮らしです momoさんの気持ち良くわかります って 言ったら かるすぎますか? 主人が 心ってコロコロ変わるから ココロって言うんだよと 言ってたのを久々に思い出しました 後一ヶ月の余命と聞いたとき 父の仏壇に私は辛くても 我慢しますから 痛みで苦しくならないうちに迎えに来てくださいとお願いしました 若いころ癌になった時は 言ってくれと言ってたのに 本人には隠していた事など いまだにひきずっています。これでよかったんだと言い聞かせる日と 後悔する日と  コロコロを思い出してちょっとすくわれた 日になりました。 メグちゃん おばさん本当に癒されてるよ 本当よ。       支離滅裂で ごめんなさい

44E355 さん

ご無沙汰しました。お元気そうで良かったです。おばあちゃんもまたお家に戻ってこられたのですね。

私は、自分でも嫌になるくらい、主人のちょっとした表情や仕草で、天国と地獄を行ったり来たりしてしまいます。

ご主人様のコロコロの言葉、私も救われました。いいんですよね、コロコロ変わっても。

落ち込んだ時は、メグちゃんをぎゅっと抱きしめて、じっとじっと、心が復活してくるのを待っています。

44E355 さん、どうぞごお体に気をつけて、おばあちゃん共々、穏かな日々をお祈りしています。

お元気で!

ここはmomoさんのblog・・
心の中の想いを吐き出す場所で良いと思います。

すごく共感できます。
なぜ、生きることを放棄する自由、放棄する権利がないのでしょうね?
私も同じように自問自答する時があります。

そして、やはりこの世には神も仏もいないのだと・・最後には思ってしまうのです。

生きていくことは辛いです。
でもね、私の周りでも世間でも「生きたくても生きることのできなかった」人をたくさん見て来ましたから
その人達の為にもお迎えが来るまでは生きていかないと・・と思うようにしています。

まっちさん


こんにちは。

仰るように、世の中には生きたくても生きられなかった方々が沢山おられます。

それを傍で見なくてはならなかったご家族からみると、私の苦しみなど、なんて贅沢な、と思われるでしょう。

そんなご家族の苦しみは、私には、想像するだけで、本当のところはとても分かるものではありません。

そして、生きていながらこの苦しみから抜け出せない者の心の中も、やはり、分かってもらう事は出来ないでしょう。

何も無くて、平凡に生きてゆくことは、何と貴重で、何と難しい事かと思います。




「すごく共感できます。」

こう言って頂いて、とても救われました。

私も、今は神も仏も居ないと思っていますが、天命が尽きるまでは、頑張って生きて行かなくてはならないと自分に言い聞かせています。

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