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想定外

夫が、車椅子から落ちた。


夕方、ホームに行くと、Kさんが直に出てこられた。


「すみません、車椅子から転落して、顔に怪我をしてしまいました。」


これは、想定外なのか?


そうでもあり、そうでもない。


有料のホームは、基本一切の拘束をしない事になっている。


体験入居していたVホームでは、一筆書かされた上、病院と同じ様に車椅子ではベルトをしていた。


そのベルトを「拘束」と捉えるかどうかは、色んな意見があると思う。


私は、かねがね車椅子でのベルトは、座っている本人の安全を確保する為の車のシートベルトやベビーカーでの安全ベルトと同じ考え方で良いと思っていた。


ベッド上での胴体拘束や両腕両足を縛り付ける拘束と同じ次元で考える必要はないと思っていた。



今のホームへ入居を検討していた時、相談員のKさんとは、そんな話を散々して、私の考えは伝えてあった。



ただ、別にベルトをしないで済むなら、それに越した事はないと思っていた。


そして、Aホームでの生活が始まり、当初は、夫が車椅子から立ち上がる素振りを見せるかどうか、またずり落ちる事がないかどうか、誰もが気を配っていた。


でも、夫は大人しく座っているだけで、病院に居た時の様に、立ち上がる素振りを見せる事もずり落ちる事も無く日にちが経っていった。


そのまま1ヶ月も過ぎた頃、私自身も当初の心配をほぼ忘れて過していた。


病気が進行し、立ち上がる事も忘れてしまったのかと思った。


ただ、一抹の不安は、心の奥底に残っていた様な気がする。


それが、現実のものとなり、夫は一人で部屋に居た時間帯に、転落し怪我をした。


怪我の程度は、大したものではなく骨折などなかったが、目の周り、鼻の頭など、打撲の為にあざになった。



実は、この転落には予兆があった。


転落の2日前に夫と過していた時、たまたま便意を催したらしく、座ったままの状態で身体をよじっていきむ姿勢を取った。


何回かそんな姿勢をしたので、これはもしかしたらトイレに座らせれば排便できるかもしれないと思って、直に職員さんを呼んで、トイレに座らせてもらった。


残念ながら、座った時には、既に出ていたので、私が見たかったトイレでの排便は叶わなかったが、トイレに座る夫の姿は、新鮮だった。


それはさて置き、車椅子でいきむ姿に、万一の転落の危険を感じたので、帰り際にKさんに事情を話しておいた。


Kさんは、排便のありそうな時には、気をつけると言われた。


施設側では、夫の排便のリズムがまだ掴めていない、と言う。


入所以来、自然に出た事は一度もなくて、3日目4日目位に薬を使って出している。


その日は、5日目の夕方だったので、寝る前に薬を飲まそうと思っていた所、自然に出た。


初めて薬を使わずに、自然に出たことになる。


それから2日後、今までのリズムから考えると、排便がある日ではなかった。


ところが、午前中に、夫はリハパンの中に排便し、かつ、車椅子から転落していた。


気が付いてもらえるまで、どの位の時間があったのだろう。


転落や転倒は、たとえ目の前で見ていても起こり得る。


24時間、誰かがずっと目離しせずに、且つ、直に手を出せる所で構えていない限り、100%の安全など確保できない。


落ちた事をとやかく言うつもりはなく、見つけてもらえるまでの時間が悲しい。


夫は、床に倒れたまま、声をあげることも出来ず、身体を起こす事もできず、助けを求めるボタンを押す事も出来ないで、ただ、ただ、誰かが来てくれるまで、じっとじっとそこにそのまま居る以外に、出来る事がなかったのだ。


Kさんは、2日前に私から危険予測を聞いていたにも関わらず、この様な事になってしまい、本当に申し訳ないと言われた。


Kさんにとっては、全くの想定外だったのだろう。


いずれにせよ、起きてしまった事は仕方がないので、これからの対策を考えなくてはならない。


仕事帰りの次男が立ち寄ったので、事情を話した。


一旦、席を外していたKさんは、暫くすると、手にベルトを持って戻って来られた。


股の下から支えられるT字型の車椅子専用ベルトだ。


専門用語では、これも拘束帯となるのだろう。


近くの介護用品専門店に走って、買って来たとの事。


そして、車椅子に座って、一人で居る時間帯には、ベルトをする、と言う事になった。


これで、転落の危険は回避されるかもしれない。


だけど、私はまだ心配だった。


在宅で居た時、一度だけ車椅子ごと後ろに転倒したことがあった。


その時は、いくら激しく動いても、転倒しないタイプの車椅子に変えてもらった。


また、そのまま前に倒れる危険も、絶対にないとは言えない。


病院では、その危険を回避するために「バー固定」していた。


車椅子を柱などに縛り付けて、動かないようになっていた。


これなら転落、転倒の危険は、ない。


私は、それでも良いと思っていたが、Kさんは、その光景はどうも納得できないらしかった。


車椅子が、ずらりと並べられて、動けなくされているイメージがあって、好きではないらしい。


そりゃ、私だって、そんな事しないで済むならそれに越した事はないと思っている。


だけど、車椅子ごと前に転倒して、顔面を強打し、尚且つ身動きが取れない悲惨な夫の姿を想像すると、背に腹は変えられないと思った。



万一何らかの事故があった時にも、直に気が付いてもらえればそれで良いのだが、このホームの生活では、最長1時間半、部屋で一人になる時間がある。


それを避けるために食堂に居てもらったとしても、30分ほどは、誰の目もない時間帯があるとの事。


今更振りかえるつもりはないが、入居者2.0人:職員1人のVホームと2.5人:1人のAホームの違いは、こんな所で感じる。





ところが、次の日面会に行くと、夫は座椅子に座っていた。


Kさん、あちこち情報を集め、考えたな、と思った。


床面に近い座椅子なら、万一の動きがあっても、怪我のリスクは少ない。


と言っても、近くのホームセンターで、取り急ぎ買って来たこの座椅子では、想定外の事はまだありそうだ。


一人で部屋に居る時間には、Kさんが一緒にいて、様子を見てくれる事になっている。


今回の転落は、夫にとっても私にとっても、とても悲しい出来事だった。


ただ、その後の対処は素早やかった。


ベッド上で動けないように拘束しない限り、100%に近い安全は望めない。


怪我も病気も、起こり得るだろう。


何かが起こった時に、傍に居る人たちが、誠心誠意夫の為に心をかけてくれた、出来る事をやってくれた、


そう、思えたら、それで良いと思っている。


転落から4日目、顔のあざも薄くなってきた。


そして、何より、車椅子から座椅子に移った夫の姿は、ますます居間で寛いで居る様に見えて、気に入った。



これも、想定外だな。



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ざいす2



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